運営会社とストーリー

宿主よりごあいさつ

― 古民家の灯りを次世代へつなぐ、小さな挑戦 ―

はじめて「音戸」という地名を耳にしたのは、2018年11月、呉市の離島をめぐる視察ツアーに参加したときのことでした。広島県が主催する関係人口創出のプロジェクト「ひろしま里山ウェーブ」に参加し、地元の暮らしや空き家の現状を、肌で感じる機会をいただいたのです。

瀬戸内の離島には、年を重ねた家々が、静かに朽ちていく風景がありました。そこには、なお暮らし続けるお年寄りたちの姿もあり、建物の命と人の営みが、ぎりぎりの均衡で成り立っていることに強く心を動かされました。

その中でも、とくに惹かれたのが音戸の引地エリア。古くからの道が残り、どこか懐かしく、けれど確かな生活の気配がある。
「ここで、何かできないだろうか」「この古民家の灯りを、次の世代へ残したい」――そう思ったのが、音戸イロリバHOUSEの原点です。

建物をただ残すだけではなく、人が出入りし、心を通わせる場にしたい。
そんな思いから、私は古民家を宿泊施設として再生することに決めました。

東京・西荻窪で運営している宿「西荻イロリバHOUSE」では、民泊とイベントスペースを通して、国内外のお客様との交流を行ってきました。
そのノウハウを活かし、東京と広島をつなぐ場として、外国人旅行者にも日本の風土を体験してもらえる拠点を目指しています。

「イロリバ」という名前は、囲炉裏=語らいの象徴と、場=出会いの場を組み合わせた造語です。
ここ音戸イロリバHOUSEでも、瀬戸内の風土を感じながら、やさしさに火を灯せるような場所にしたいと思い、この名前を引き継ぎました。

開業の準備段階から、地域の方々、呉高専の学生たち、DIY好きの「塗り壁隊」など、たくさんの方に支えていただき、2020年にリノベーションを完了。
現在は「家守さん」が住み込みで運営サポートをしながら、地域の暮らしとつながる場として育てています。

コロナ禍を乗り越えて

オープン直後に訪れたのが、まさかのコロナ禍でした。
予約はキャンセル、訪日客もゼロとなり、まさに開店休業の状態。ここで、私はターゲットを日本人にも広げ、水回りの整備と2階の独立性を高める必要性を痛感しました。

しかし、資金的な余裕がなく、クラウドファンディングに挑戦することに。
結果、130名以上の方から110万円超のご支援をいただき、無事改修を行うことができました。あのとき支えてくださった皆さま、地域の皆さま、改めて心から感謝申し上げます。


この家は、私一人のものではありません。
地域の方々と一緒に紡ぎ、未来へ手渡していく「場」です。
泊まりに来られる方、地域に関わってくださる方――この宿に訪れるすべての方と、「やさしさを囲む時間」を共有できたら、これ以上のよろこびはありません。

どうぞ、音戸での“ほっこり時間”をお楽しみください。

オーナー夫妻のイメージして作家のくまださよこさんが製作

運営会社:イロリバ合同会社
事業所在地:広島県呉市音戸坪井1丁目2-18
電話番号:非公開(宿泊確定者にご通知)
本社住所:東京都杉並区今川4-8-21
代表者:此松陽子
創業:2019年6月
音戸イロリバHOUSEの開業:2020年3月 グランドオープン:同年10月
旅館業法の許可番号 | 広島県呉市保健所 | 呉保生指令第3001号