私がヒバオイルを選んだ理由は、以前、取材で青森ヒバだけによる木造住宅を取材して、価値を知っていたからだ。その家は、木の香りがとてもよく、夏場になっても蚊など虫もほとんど出ないと施主さんは言い切っていた。
青森県にあるヒバの木のオイルエッセンスを絞り出したものがヒバオイルだ。それを木に塗ると、ヒバの木の香りが心地よく、人間にはリラックス効果があり、防虫効果もある。
古民家では防虫効果を目的として、実際に青森ヒバが使われていたのだ。一方、ベンガラや柿渋もしかりだ。
古民家には自然素材!
瀬戸内海方面ではベンガラや柿渋が主流だったようだ。この音戸の古民家には、ベンガラが随所に使われていて、床下の柱は赤く塗られていて、虫の被害は一切なかった。離島に行って思うことは、虫が多いということ。それをいかにして、対策するかが、古民家宿の重要なミッションでもあるのだ。
さっそくヒバオイルを導入すべく、インターネットで購入した。かなりの量を使うことを見越して、約1.5リットルの容器に入ったものを4本に。
ヒバオイルをプラスチック容器から塗装用のハンディカップに注ぎ、刷毛で塗装していく。香りはもちろん、色合いも良くなった。深みのあるツヤが出てきたのだ。玄関の雰囲気が、ぐっと良くなってきた。建物が生き返る過程を見るようでワクワクしてきた。